価格を重視した30mm級の双眼鏡なら部門
最初に紹介するのは、KOWA コーワ SV32-8 です。
興和の製品を説明するのは、なんかいつも難しいです。
コーワの双眼鏡は、現在、フラグシップモデルのGENESIS、
BDシリーズ、SVシリーズと3つのシリーズがあります。
他にも、HIGH LANDER PROMINAR のような
とてつもない製品も存在していますが、
バードウオッチング用としては、上記の3種類とします。
旧BDの場合、42mm,32mm,25mm は同じシリーズとは思えない
ほど個性があって、発売時期も目指すところも違っていました。
野鳥観測に限定すれば、BD32-8 が最も使いやすく感じていました。
もう一つ、時期的な問題で、実物をくらべることができたのは、
旧BD32-8 と、新BD42-8XD であったり、
新BD42-8XD とSV32-8 であったりもしていて、
BD32-8XD PROMINAR は、また別の機会に見ているので、
8×32 の3種類を直接比較した記録が残ってないのです。
現行の3シリーズの実売価格を比べた場合、
BD はSV の2倍以上してますし、 GENESIS は、BD の3倍以上で、
非常に大きく、同社の価格帯としてもランクに違いがあります。
前説長いですが、上記した3つのポイントをふまえた上で、
KOWA SV32-8 がどんな双眼鏡にみえるのかというと、
とっても素晴らしいです。まったく隙がみつからないほどです。
シリーズ製品開発の同時化や対物フォーカス機構を採用するなどして
コスト削減につとめることで、高いコストパフォーマンスを実現と
説明がありますが、実際にそのことを使用する時に意識することはなく、
技術的な工夫が、通常の双眼鏡との操作性の違いに現れることはないです。
あえて気になる部分としては、フォーカスリングが形状の問題で、
次の山まで距離があり、微妙なピント調整ができない時があります。
この点は、近距離でなければ被写界深度内におさまるので、
この双眼鏡の性格的には、それほど困ることはないと思います。
KOWA SV32-8 は、SVシリーズ中、最もバードウオッチング向きで
要望も取り入れた設計となっていて、とても使いやすいと感じられます。
中心部の鋭さ、良像範囲、周辺部の崩れ方、発色傾向などの官能部を
もう少し客観的な表現で示すことができると良いのですが、
そこまで数値化する能力と、この先に控えている双眼鏡の説明が、
困難を極めてしまいます。赤いラインの意匠は好き嫌いが分かれる
ところですが、大きさ、重さも含めて、とても標準的でバランスのいい
双眼鏡です。コーワの双眼鏡は専門店以外にはあまり置いてないので、
お店にいった際は、ぜひ3種類全部を実際に見比べてみてください。