ちょっと古めでも高級機が欲しいなら部門の
2つ目は、PENTAX 8×32 DCF SP です。
ここでいきなり悲しいお知らせです。
PENTAX 8×32 DCF SP は、先月で販売終了となってしまいました。
30mm級双眼鏡の進捗 - Hydrornisの日記 の時点では、
ヨドバシ.com でも買うことができたのですが、
今では一部の在庫のある店舗でしか購入できません。
そんなわけで、紹介してもあまり意味がなくなってしまったけど
8×32 DCF SP がどんな位置づけだったのかを、新しい商品とくらべ
ながら、考えてみます。DCF シリーズの最高峰というより、
PENTAX双眼鏡の頂点で、当時最も高額のラインアップでした。
http://hydrornis.hatenablog.com/entry/2015/02/03/000307 に仕様表
が貼ってあって、思えばこの時点で消えていく運命だったのです。
あの時は、40mm級のレンズ構成について触れています。
8×32 を除く残りの3機種については、Zシリーズに引き継がれ
ED タイプと、WP タイプが用意されて、全6機種になっています。
でも、末っ子の32mmだけは、なくなってしまったのです。
30mm級は、日本では特にバードウオッチング用で人気ですが、
外国の人には、ほぼ同じ価格で大きい方が選ばれる傾向にあって
これは、最近ではZeiss の製品群をみても明らかで、
各社とも、40mm以上級を多く揃えています。
8×32 DCF SP は、660gで43mmとくらべても重さではほとんど
差がなく、実視界が7.5°というのが最大のセールスポイントで、
この部分がとても重要なのですが、世界中では受け入れられなかった
ということです。普通に考えるなら、SD 8×42 WP が後継機になり
実視界が7.5°で、重さが約640gなのでむしろお得に思えるのでしょう。
バードウオッチングを趣味とする人は、年齢や性別を問わず
日本全国にいますが、実際には50歳以上が過半数を占めています。
EOS 7D Mark II の発表会でも、最大のターゲットユーザーと紹介され
最も購買力がある人達です。但しこれはカメラ男子の方が圧倒的に多く
この年代の女性は、ウォーキング&ウォッチングを楽しむタイプです。
だとすれば、どんなものを必要とするかを考えれば答えは簡単です。
小さくて、軽くて、おしゃれなもの、年齢を考えたら高級品です。
スワロフスキーは、日本で最も余裕と影響力があるこの層に向けた
製品を完全に意識して提供しています。この話はEL8×32 の紹介時に
書こうと思っていたのですが、今回は特別なので良く考えましょう。
最も利益率の高い商品群を持っていたのに、最高のお客様である
双眼鏡女子が好む30mm級本格双眼鏡をわざわざやめてしまう理由が
全然理解できないのです。Zシリーズはすべて10万円以上の高級路線
なのだから、長い歴史のある旭光学のブランドを存分に活用して、
世界一厳しい消費者の商品選択基準を満たしたスーパーブランドに
なれる、これ以上ない絶好の機会なのに、余りにも勿体ないです。
PENTAX 8×32 DCF SP は、光学技術を結集したシリーズ最高峰の
30mm級双眼鏡で、唯一の広視界です。だからこそ意味があったこと
Zシリーズの6機種を捨ててでも、 8×32 を残して欲しかったです。
でも、もしかすると、Zシリーズから32mmをはずしたのは、
25mm~35mm級の高級品を発売するための布石であって、
SZシリーズとかを後から追加してくれるのかもと期待をします。
それなら、RICOH のブランドも使えるからGRシリーズだって
製造可能になります。RICOH + PENTAX VS. SWAROVSKI の
対決となれば、これは非常に興味深いです。日本で認められる
高品質の商品は、必ず世界中でも評価が高くなりますから、
新しいジャンルを切り拓いたリコーイメージングは、
最高のブランドとなって輝き続けるのです。