NIKON 10×25 HG をほめてみる
前の分を読み返してみると、まるで反面教師ようで、
NIKON 10×25 HG がダメダメのようにもみえてしまうけど、
そんなことはありません!
ニコン自身がプレスリリースで、
双眼鏡の光学系においては世界最高水準を達成
とまで自信たっぷりの表現で報道資料を発表することは珍しく
HGシリーズの光学性能は本当に素晴らしいです。
見え方は個人差があるのでどれが一番とかは断言できませんが、
NIKON 10×25 HG 以上の見え方をする双眼鏡はそう多くはありません。
8×32 とか 8×42 の本格双眼鏡でも、この高級機独特の明るい見え方を
するのは、相当ランクの高いものに限られます。ここでいう明るさとは
カタログ上のひとみ径の2乗の設計上の理論値では説明できません。
ドイツ製の双眼鏡で使われだした光透過率がそれに近い気もしますが、
これも何を基準にしてるかわからないので、とにかく見くらべてみると
特に慣れていない人こそ、一瞬で理解する特別な双眼鏡の見え方なのです。
ニコンの最高機種は今ではEDGという製品がありますが、
EDGシリーズには20mm級がありません。なのでHG20mmシリーズは
今日でもニコンの最高機種であり、日本一の小型双眼鏡なのです。
そんな凄い見え方をする双眼鏡だからこそ、気になる点があるわけで
普通の双眼鏡には辿りつけそうもない期待もこめられているのです。
人間は完璧なものに憧れはするけど、まるで欠点のないものを
長く愛することはできません。NIKON製品はとても真面目につくられていて
双眼鏡も手堅くまとまっているものが多い中、10×25 HG だけは
ちょっと尖っているというか、かなり個性的な仕様となっているので、
万人には受け入れ難い部分があり、普通の人にはとても使いにくいのです。
今回は、NIKON 10×25 HG をほめてみるが表題なので、
多少ひいき目な表現を使っていますが、見え方は個人差を超えても納得
していただけると思います。デザインについては人それぞれですが、
マグネシウム合金を使った小型双眼鏡は見た目にも美しく、
カメラ好きなら理屈はともかく強度や精度にも優れている感じがして、
所有する喜びがあります。見口もシリコン素材を使っていて、
クリック付きターンスライド方式なのに吸いつくような優しさです。
もちろんアイレリーフも15mmのハイアイで眼鏡装用時でも全視野確保
視度調整リングは中央手前に独立して配置されているため、
気付かない内にずれてしまう心配もありません。本格防水型で
HGシリーズの中でも特別なグリスを使っていて低温対策もしています。
ここからが重要なのですが、NIKON 10×25 HG は実視界が5.4°と狭角です。
姉妹機のNIKON 8×20 HG の6.8°とくらべると見掛視界でも負けています。
対象物の導入に際して難度が上がりますが、でもこれは慣れればいいのです。
訓練で克服するんです。マイナスの思考ではこの双眼鏡を楽しめません。
実視界が狭いということは、良像範囲だけを切り出したことにもなるわけで
直線と曲線の組み合わせが美しい建造物を見るようなシーンでは、
フィールドフラットナーレンズの効果もあって周辺部が崩れにくいので、
その美しさを堪能できます。この双眼鏡と一緒に色んなところに行きました。
特定の目的だけに使っていたらわからなかった感動にもたくさん出会いました。
その思い出をすべて書き出すことは無理ですが、
そういう意味では旅行用に向いているのかも知れません。
バードウォッチングでも電線を横に辿っていく場合や、
木や枝をつたって小鳥を見つける時なども、歪みが少ないので
疲れにくいです。撮影もする場合は荷物が多くなるので、
小型軽量で性能も大事となれば他にはあまり選択肢はありません。
あまりにも長くなってしまいましたが、
NIKON 10×25 HG は手ブレさえ克服できれば理想の双眼鏡です。
誰にでも好き嫌いはあって当然なので共感できない部分もあると思います。
でもお気に入りがみんな同じだったら、それはとてもつまらないです。
NIKON 10×25 HG は最初に惹かれて買った時から長い時間をかけて
たくさんのフィールドを経験し、ようやく使いこなせるようになってきた
特別な双眼鏡なので、その出会いに感謝するほど素敵な双眼鏡だけど、
だからこそ、はじめて双眼鏡を使う普通の人にはおすすめできないのです。
NIKON 10×25 HG D CF
お家の双眼鏡で最も稼働率が高いのが、10×25 HGです。
今まで低倍率双眼鏡ばかり紹介してきたので、
昨日のエントリでかなり言い訳をしておきました。
とても悩みました。最終的な段階で、8×20,10×25,8×32
のどれかを買うつもりでした。お店に行く直前では
8×20が最有力でほぼ決まっていたはずだったのですが
お持ち帰りしたのは、10×25 HGでした。なんで?
見た目で決めたんです。
20mmHGシリーズは、対物側にピントリングがあります。
そのため対物レンズに指紋をつけそうになる8倍のモデルは
避けたいと思ったりしたことも確かですが、寸足らずに見える
8倍より10倍の方がその時は美しく思えて買っちゃいました。
いつか20mm級のおすすめリストを公開する予定ですが、
この機種は入らないと思います。さらに10倍ならこれがいいリスト
があったとしても、この機種はやはり入らないと思います。
とっても熱烈な10×25 HGファンの人がいるかもしれないので、
これを買って良かったと思うところを3つ紹介いたします。
10×25 HGを買った後、まるでその弱点を補強するかのように
あまりの見え方に双眼鏡の女神さまが舞い降りてきたかのごとく
色々のタイプの光学機器を買ったり、見に行ったりもするようになって、
光学製品に対する知識が、それ以前にくらべるとだいぶ増えました。
お気に入りの双眼鏡を手に入れたことで、バードウォッチング以外の
使い方を模索するようになり、小型軽量なので色んなところに持ち出すように
なって、小さな発見をする楽しみがちょっと理解できるようになりました。
8×32とくらべると手ブレをするので、フォームにも気をつけるようになり
木にもたれかかったり、柵があれば肘をのせてできるだけ安定させる
何もなければ低い姿勢に構えるなど、状況に応じて色々と工夫をすることで
結果として、野鳥に対するストレスもほんのわずながらも軽減すること。
10×25 HGは、たくさんのことを教えてくれたとても優秀な先生であり、
そんな感謝の意味も含めて、今も使い続けているお気に入りの双眼鏡です。