酒望子

全国新酒鑑評会は日本酒業界最大のイベントです。

このコンクールで金賞を受賞することは大変な勲章です。

色々と細かいルールが改訂されているのだけど、

日本酒に関わるたくさんの人が注目します。

 

名称も少し変わったので、正確ではありませんが、

醸造試験所もしくは酒類総合研究所が主宰者となって行われ

審査の結果が確定すると、直ちに公開されます。

発表会のメイン会場はものすごい熱気で怖いぐらいです。

一般の人向けには、後日別の会場が用意されます。

 

これも現在の事情は良く分からないけど、

参加者は意外と少なく、張り詰めた緊張感もないのでオススメです。

入り口で、500円払うと小さな利き猪口を渡してくれるので、

あとは自由に試すことができるのですが、

全部飲んでしまうとえらいことになってしまいますから、

もったいないけど、吞み込むことはしないように気をつけます。

 

ちょっと長くなりましたが、

100本以上あるとっても選ばれたお酒を全て口にした中に、

幾つか飛び抜けた性格のお酒が確かに存在しました。

最後にどうしても気になったので、

帰る前にちょっとだけ普通と同じように飲んでみました。

いつまでも残り続ける芳香の余韻を堪能することになったお酒が、

タイトルにある、酒望子というお酒だったのです。

 

無謀にも、翌日製造元に連絡をしました。

その時点では、出荷の予定が決まってないとのこと、

今考えれば優しくお断りされたのだと気づくところですが、

懲りずに出荷時期を過ぎてから、もう一度連絡を取ってみると、

なんと1ケースだけ取っておいてくれたのです。

 

一升瓶6本なので、少しだけ悩んだりもしたのですが、

数ヶ月ほど頭がいっぱいだったので、送っていただきました。

酒販店に提供する価格と同じにしてくれたので、

申し訳ない金額で買えちゃいました。

 

それからかなりの年月が過ぎて再びこのお酒と再会します。

最初のきっかけは、たまたま立ち寄ったある酒屋さんで、

「醸し人九平次」というお酒を熱心にすすめられられたので、

1本だけ購入してラベルを見ると、記憶に残る文字列が記載されています。

日本酒ファンの友人がたまたま名古屋に講師として出張することになり

探索を依頼したところ、ご当地ブランドの酒望子を買ってきてくれたのです。

 

醸し人九平次は首都圏向けの名称で、

その品質に対してお値段以上のバリューで有名になり、

今では、世界中で人気の日本酒になっています。